「心(マインド)」と「頭(ブレイン)」フラーがぼくたちに話したことリチャード・J・ブレネマン編 芹沢高志 + 高岸道子 訳 めるくまーる社 より転載 *************************************** 頭は何のために使うの? 心の方は? 頭はつねにわれわれの感覚情報を調整している・・・視覚、聴覚、臭覚、触覚、味覚・・・われわれの外に存在しているすべてを知る唯一の手段、頭は私たちが生きているということを知る唯一の手段なんだ。 「これはそれと臭いが違うぞ」とかね。 私たちの頭は特殊ケースを処理し、私たちが感じる知覚は、それぞれ特殊ケースなんだ・・・それから、それらのシステムをつくる。 つまり、なにが関係あり、なにが関係ないのか、まとめるんだ。 頭の唯一の関心事は、その瞬間のシステムなんだよ。 さて、“心”の方は特殊ケースと特殊ケースの“あいだ”にある関係を見つけだす。 こういう関係は、ある特殊ケースだけを見ていたってわからない。 たとえば、太陽系という存在の発見だ。 これはひとつひとつの惑星だけを見ていてもわからない。 別の例はニュートンの発見だね。 引力の法則、天体質量間の相互作用の法則だ。 これも、天体ひとつひとつをみていたのではわからない。 そうだ。“心”は関係性をあつかう。 “科学”は“一般原理”を発見するために心を使う。 一般原理には例外がない。 例外がないから、一般原理は本質的に不変、永久的なんだ。 だから心は永遠なるものをあつかい、頭はどこかではじまりどこかで終わる、つかのまの特殊ケースをあつかう。 それは、とても大きな違いだね。 1500年代、北イタリアに住んでいたポーランド人の天文学者コペルニクスの場合を話そう。 当時の権力者たちは、宇宙の中心に地球があると思いたがっていた。 しかし、コペルニクスの心の動きは止まらない。 彼は21日間以上惑星の位置を追跡し、分秒の単位でそれを測定した。 はじまりと終わりの位置、そしてその間の時間、これらふたつのダータ群は、ちょうど支店とてこみたいなものだった。 これを見て、彼は地球もその他の惑星も、太陽のまわりを楕円軌道でまわっていつことを証明した。 彼の心が成しとげた発見は当時の人々の固定的なものの見方を打ちくだき、 それは今でも「コペルニクス革命」と呼ばれている。 思考は単なる反射作用ではなく、心によって行われるものだ。 頭がやるのではない。 頭はただ、感覚や特殊ケースの周辺状況を調整し、われわれに生きているという感覚を与えるんだ。 一方心は、すべての感覚情報が映しだされるテレビ・スタジオのコントロール・ルーム、つまり頭のなかにすわっているディレクターみたいなもんだよ。 心は比較し、調整する。 すごいじゃないか。 私たちは自分の外側には存在しない。 私たちはひとりひとり、全方向性テレビの中に住んでいるようなものなんだ。 ジャンル別一覧
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